クラウドと会計ソフトの違い

会計専用ソフトとクラウド会計の選び方

今クラウド会計(freeeやMFクラウド)が流行っています。
facebook等のSNSでは、ITが使える人を前提にしているためか、頻繁に宣伝広告を目にしますね。
一方、専用機(有名所ではソリマチの会計王やTKC)はテレビCMで高い知名度を持ちます。
貴方の会社には、どちらが相応しいでしょうか。

クラウド会計と専用ソフトの長所・短所

結論から述べると、2つは全く別物です。
クラウド会計・・・簿記を知らなくても使える(ように感じる)←ココの括弧書きがミソ
専用ソフト・・簿記知識が必須
クラウド会計が急速に伸びたのは、この点にあると言っても過言ではありません。
以下では、「簿記知識がない初心者が扱う」を前提にし、幾つかの切り口で両者を比べてみます。

金銭コスト

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、毎月定額払いであることが多いです。
    そのコースも複数に分かれています(例、ブロンズ・シルバー・ゴールド、の順で高くなる)。
    当然、安いプランでは一部の機能しか使えません。
    (平均的プランで、5,000円/月のクラウド利用料が発生します)
    また、クラウド会計とは別に、インターネットバンキングの契約も必要になります。
    (銀行によってマチマチですが、2千円~5千円/月/1口座)
    インターネットバンキングは銀行によって料金が異なり、口座を複数持っている会社では、大幅な固定費アップと成ります。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、初回買切りタイプが多いです。
    毎年法改正等があるため、年一でバージョンアップする必要があります。
    その代わり、プランという概念が無く、同一料金でフル機能が使える特徴があります。
    インターネットバンキングを契約する必要がないため、トータルコストはクラウド会計より安く抑えることができます。

操作性

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、簿記知識が無くとも、入力が簡単にできる機能が備わっています。
    また、インターネットバンキング契約をしていれば、預金データがクラウド会計に自動で流れ込んで来るため、入力の手間が省けます。
    クレジットカードデータについては、特段の契約が必要ないため、預金と同様に入力の手間は省けます。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、オーソドックスな簿記知識を元にした、仕訳日記帳/総勘定元帳へのデータ入力となります。
    インターネットバンキング契約をしないため、1つ1つデータを手入力する必要があり、クラウド会計に比べ手間は増えます。
    なお、クレジットカードも同様です。

スピード

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、読み込みスピードに時間がかかります
    (パソコンの性能にも大きく依存する)
    特に、確定申告期は全国から一斉アクセスするため、サーバー負荷が高まるせいか、処理ができなくなることがあります。
    従来の専用ソフトでやっていた時間より、3~5倍の時間がかかる場合もあります。
    今後、5Gが本格稼働&運営会社のサーバーが増強されれば(←特にココ大事)、スピードは改善される可能性はあります。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、インターネット回線で繋がないため、パソコンのスペックが低くても、読み込みスピードは一瞬です。
    手打入力ならば、圧倒的に専用ソフトの方が早く仕事が終わります。

大量データの処理

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、大量データの処理に大きなメリットがあります。
    例えば、300件/月の預金データも、自動取込機能を使えば、AIが勝手にやってくれます。
    ただ、人間の目で判断しなければならない部分も残るため、「全自動」とは行きません。
    個人やスタートアップ企業向けの製品が多いですが、ある意味、大量データを扱う中企業~に向いているかもしれませんね。
    また、銀行口座同士の資金移動の場合は、特殊な処理をしないと、2重でデータが入ってくるため、注意が必要です。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、1取引毎に手打ち作業が必要になるため、大量データの処理には不向きです。
    ただ、銀行データについては、自動連動のシステムがあります。
    銀行取引が多い会社では、クラウドと遜色無いでしょう。

情報共有

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、インターネット回線さえあれば、誰でも閲覧できるため、遠隔地での情報共有(例えば、会計事務所とお客様)に便利です。
    会計データの変更もリアルタイムに表示されるため、画面を見ながら打合せも可能です。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、都度データのやり取りが必要となります。
    刻一刻と変わる会計データを見たい、というニーズがある場合は、不向きです。

データ移行・管理

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、データ移行という概念がありません。
    例えば、PCの買換えがあっても、旧PC→新PCへ会計データを移す必要がないからです。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、PC買換えの都度データ移行が必要となります。
    (ただし、弊社で記帳代行をされる方には、その心配はありません)

データ修正

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、データの修正に時間がかかります。
    例えば、消費税区分を変更しようとした際、一括置換という機能もあるのですが、専用ソフトに比べて、使えない・・
    結局、一つ一つの目視チェックと手作業が必要となります。
    また、データバックアップという概念が無いため、一度間違った処理をすると、修正前のデータに復旧できません・・
    実は、よほどの知識が無いと、やり直しが効かない危険なシステムでもあります。。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、データの修正が一瞬で終わります。
    上記の一括置換では、手修正の必要が無いからです。
    また、バックアップを取ることができるので、誤って処理してしまった場合でも、復旧可能です。
    大量に仕訳データがある場合でも、安心して修正ができます。

会計処理の問題点チェック

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、入力が簡単になっています。
    その反面、データ検証(うまく会計処理がなされているか、税務的に問題ないか、etc)が難しく、通常の簿記知識(大体2級程度)以上の、スキルが必要になることがあります。
    過去行った同様の取引データは、将来も自動処理されるため、毎年の税制改正に対応できない(そもそも気付かない)こともあります。
    (この点は、人の目で判断して修正しなければなりません)
    データ修正には、クラウド操作スキル+相応の税務・会計知識が必要になることがあります。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、AIによる自動学習機能がありません。
    その反面、手入力がメインとなるため、自然と今年の税制改正チェックが目に入ります。
    簿記知識は必要になりますが、どのソフトもほぼ同じ仕様で作られているため、問題点の発見/データの修正は容易です。

他ソフトとの連携

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、売上/給与計算との連携がスムーズです。
    ただし、それぞれのアプリケーション毎に、月額費用が発生します。
    (例えば、最も安いプランのクラウド給与で、2,000円/月程度)
    魅力は、給与→会計への連動が自動で行われることですが、給与計算の修正が発生した場合は、自動で会計に反映されない等の不便もあります。
    なお、給与の連動は通常1~2件/月、の連動だけですので、それほどメリットはありません。
    最大のメリットは、販売管理アプリケーションとの連動にあると思います。
    顧客からの入金が大量にある場合、売掛金の相殺事務に威力を発揮します。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、他アプリケーション(例えば、給与ソフトや販売管理ソフト)と会計ソフトが連動をすることは、ほとんどありません。
    売上は販売管理ソフト(またはエクセル)で完結。
    給与は給与計算ソフトで完結されることが多いです。
    各ソフトで集計した「合計値」を、会計ソフトに入力するイメージです。
    (詳細データはあくまで各ソフトで管理する)
    なお、「合計値」を入力するだけのため、会計ソフト側の作業時間はさほど掛かりません。

サポート体制

  • 1. クラウド会計

    クラウド会計では、メール/チャットサポートが基本です。
    (クラウド会計なので、当たり前ですね)
    電話サポートを受けたいときは、1つ上のプランにしなければならない等、別途料金加算されることがあります。
    オペレータは、一人で複数人の対応を同時チャットしているため、レスポンスが遅いというデメリットがあります。
    内容にも依りますが、30分以上かかることはザラです。
    また、「後日回答します」とメールで約束したにも関わらず、無視されることもザラです(笑)
    過剰なサポートは期待しない方がいいでしょう。

  • 2. 専用ソフト

    専用ソフトでは、電話対応が基本です。
    チャットに比べ、待たされる時間は少ないことが特徴です。
    フリーダイヤルが多いため、通信料も気になりません。
    意思の疎通もスムーズに進みストレスが無いメリットがあります。

結論

クラウド会計は、大量データ(特に売上)を扱う場合に、大きなメリットがあります。
専用ソフトは、コスト(金銭面)が最も安く上がる点に、大きなメリットがあります。
メリット/デメリットをまとめると、以下となります。

項目 クラウド会計 専用ソフト
コスト ×
操作性
スピード ×
大量データ ×
情報共有
データ移行 ×
問題発見
連携
サポート ×
総評 大量データ処理に向く(売上)
・クラウド自体の導入/維持コストは高い(経理事務員の業務効率化には資する)
・プランに依るがサポートは×
コストが安い
・大量データ処理は不向き

弊社の特徴

  • 1. 2大クラウド会計に対応

    freee MFクラウド

    弊社はクラウド会計:freeeの認定アドバイザー、MFクラウド会計:メンバーです。
    倉敷地区では、No.1のクラウド会計導入実績を誇ります(2021.1月時点)
    導入や操作方法で不明点があれば、弊社でも無料電話サポートを行っています。

  • 2. 記帳代行で、導入費用/ランニングコスト:0円

    弊社はクラウド会計の他、自社にて業務用会計ソフトを使用しています。
    弊社ソフトで記帳代行させて頂く場合、ソフト導入費/ランニングコスト/アップデート料金は、全て0円です。
    (お客様側でソフトを購入・インストールする必要はありません)
    会計処理結果は、月次報告等で定期的にデータをお渡ししています。

初回ご面談時にコンサルティングさせて頂き、お客様には、クラウド会計/弊社記帳代行のいずれが適しているか、アドバイスしています。