税務調査といえば、マルサの女?【国税局査察部】

税務

マルサの女

マルサの女とは?

実際会うのは、レアケース
-国税局調査査察部-

その他

- 2015.08.17 -

マルサの女って何?

今から数十年前、伊丹十三監督の映画化で、マルサの女という言葉が流行・普及しました。
テレビゲームが発売されたことも、印象的でした。
そもそも、マルサとは、国税局調査査察部の強制調査を指します。
この場合、裁判所の捜査令状が取られ、税務署員によって家宅捜査(ガサ入れ)等が行われます。
しかし、実際に行われる対象は少なく、全国でも年間二百件程度です。

任意調査と強制調査の違い

任意調査

通常行われる税務調査とは、圧倒的に任意調査のことを指します。
任意調査とは、納税者の同意に基づくものです。
基本的に、マルサ(国税局査察部)とは関係ありません。

税理士が関与していれば、まず税理士にその旨連絡が来ることが一般的です。
そして、税理士を介して日程や場所等の打ち合わせが行われます。
基本的には、抜き打ちで実施する場合は無く、都合が悪ければ後日対応も可能です。
(現金商売で不正発見の可能性が高い場合等では、アポ無しもあり得ます)

ただし、任意といっても、いつまでも拒否することはできません。
納税者には税務調査に応じる義務(受忍義務)が課されています。
また、税務署員に対する質問を無視・虚偽回答している場合、刑罰も用意されています。
(国税通則法第127条)

なお、平成24年以前、法人税等の各個別法に規定されていましたが、現在削除されています。
(旧法人税法第153条)

強制調査

他方、マルサによる強制調査は文字通り前触れ無く、かつ強行的に実施されます。
税理士への事前連絡・調査日の変更もできません。
平成27年7月発表の統計資料によると、昨年度は194件の査察が着手されています。
国税庁発表の統計資料はこちら

国税局査察部が入った場合、悪質脱税は高い確立で検察への告発まで行われます。
(平成26年実績は、約62%)
その証拠集めの一環として、強制調査が行われることになります。

日程の変更は勿論のこと、会社、社長/関係者自宅、等で一斉に行われます。
また、映画で見る金庫や扉の強制解除の類もあり得ます。

なお、不正資金の秘匿事例として、以下のようなものが挙げられています。

  • •自宅階段下の納戸の一番奥に置かれた段ボール箱
  • •自宅寝室のベッドのマットレス下に保管されたスーツケース内
  • •洋室の棚の下に置かれた段ボール箱

強制調査対象の最近の傾向

近時は、脱税手法・金額だけでなく、社会的影響度合いも考慮されているようです。
例えば、以下のようなケースが、国税局査察部より積極告発されています。

  • •虚偽/誇大表示による開運商法
  • •架空の投資話を利用した、マルチ商法
  • •デート商法まがいの不動産売買仲介ビジネス

マルサによる税務調査は、違法事業の発見端緒としての役割も、期待されるように思われます。
映画でのマルサの女の如く、社会正義の実現といったところでしょうか。

【注】本Tipsでは、投稿日時点の情報を掲載しています。記事に関する税務・個別具体的判断につきましては、最寄の税務署または顧問税理士・税理士法人等へ相談確認して下さい。万一当記事に基づいて発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねます。