法人成りと消費税の免税注意点

税務

個人事業の消費税

消費税対策する?

個人事業から法人成りへのタイミング
-消費税納税義務の関係-

消費税

- 2015.04.30 -

消費税と免税期間

一定規模以下の小規模事業者に該当する場合、消費税の納税義務が免除されます。
(以下、免税事業者と呼称します)
では、個人事業主が免税事業者になるには、どんな要件が必要になるでしょうか。
簡単に説明すると、主に以下がチェック項目となります。

売上の大きさ(基準期間)

売上の大きさにより、消費税の納税義務の有無判定が行われます。
図示すれば、以下の通りです。

消費税の納税義務者と基準期間

まず、2年前の1/1~12/31(基準期間といいます)の売上高(課税売上高)を見ます。
ここが、1,000万円超であれば、課税事業者となります。

なお、新規開業者の場合であれば、2年前に売上はありません。
よって、売上高:0円、として扱います。

基準期間の課税売上高:1,000万円以下の場合、下記図示の判定へと移ります。

消費税の納税義務者と特定期間

次に、昨年の1/1~6/30(特定期間といいます)を見ます。
ここでは、売上高または給与等のいずれかを見ます。

ここが、1,000万円超であれば、課税事業者となります。
なお、売上高と給与等のいずれで判断するかは、事業主の選択に委ねられます。
したがって、片方が1,000万円超でも、他方が以下ならば、免税事業者と判定できます。

個人事業主と法人成りの関係(消費税について)

個人事業主が法人成りした場合、消費税の納税義務はどうなるでしょうか。

個人と法人は別個として取り扱われます。
したがって、個人事業主時代の売上高等は考慮されません。
法人成り後、法人としての、上記基準期間や特定期間の判定を行っていきます。
よって、通常は免税からのスタートです。

ただし、個人事業主と法人とでは、計算方法が異なります。
また、資本金等の額によっても、納税義務は変化します。
(例:資本金1,000万円で会社設立した場合、初年度より課税事業者となる)

なお、法人成りは、個人事業で免税→課税になるタイミングで行われることも多いと思います。
注意したいのは、個人事業主→法人への事業用資産等の引継ぎ(譲渡)時期です。

業種にも依りますが、事業には多くの固定資産が使用されます。
例えば、店舗設備、什器、車両、OA機器、機械装置等です。
個人事業で開始しているため、当然個人名義の資産となっているはずです。

これら固定資産を法人に譲渡した場合、その譲渡には消費税がかかってきます。
(その他、個人名義のまま法人にリースするという手段もあります)
当該譲渡が免税期間最後の12/31までであれば、問題ありません。
しかし、翌1/1以降であれば、消費税が課されるため、譲渡時期に注意します。

ところで、免税の恩恵を最大限に受けるならば、1/1法人設立が良いかもしれません。
しかし、残念ながら1/1は法務局は開いていませんので、ご注意下さい。

【注】本Tipsでは、投稿日時点の情報を掲載しています。記事に関する税務・個別具体的判断につきましては、最寄の税務署または顧問税理士・税理士法人等へ相談確認して下さい。万一当記事に基づいて発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねます。