不動産管理会社の形態と所得税の節税

税務

不動産管理会社

不動産管理会社を使った節税

主に3種類の方法あり
-適正な役員報酬額に注意-

所得税

- 2015.09.16 -

不動産管理会社が活用される場面とは

大規模な不動産オーナーの場合、不動産管理会社を使った節税が考えられます。
現在では、主に以下で紹介する3種類の管理形態が利用されています。
いずれも、適正な役員報酬・給与という形で親族へ所得分散を図ります。
一人当たり所得が低いほど税率も低くなるため、一家全体の所得税が軽減され、節税となります。

不動産管理会社の種類と特徴

①管理委託方式

管理委託方式とは、不動産経営に伴い生ずる業務を管理型法人へ委託する方式です。
例えば、以下のような業務を委託します。

  • ・入居者募集
  • ・入退去に関わる修繕や敷金精算
  • ・物件の清掃や維持管理
  • ・家賃回収業務

不動産オーナーは管理型法人へ管理料を支払います。
一般的には、家賃総額の8~3%程度といわれています。
管理型法人には、不動産オーナーの親族が役員または従業員として在籍することが多いでしょう。
当該管理料は、親族等への給料として支払われることになります。

②サブリース方式

サブリース方式とは、オーナーと転貸型法人との間で一括転貸契約を締結する方式です。
このとき、家賃保証がされる場合とされない場合とがあります。
家賃保証されない場合、主に実際に回収した家賃収入に対し、管理料相当額が徴収されます。

当該管理料の相場は、15%~5%程度といわれています。
管理型法人の場合と同じく、当該管理料が親族等への給料となります。

③所有型法人方式

所有型法人方式とは、例えば土地はオーナー、建物は所有型法人とする方式です。
オーナーは所有型法人へ土地の賃料を請求します。
(勿論、無料で貸し出すことも可能です)
他方、家賃は所有型法人のものとなります。

上記①②と同じく、所有型法人に在籍する親族等は給与として報酬を得ます。
管理料に比べ、家賃全額が給与原資となり得るため、一見最も節税効果が高そうです。

所得分散による節税効果と適正な役員報酬の注意点

不動産管理会社は、上記いずれの場合であっても、所得分散できることが節税に繋がっています。
所得税は、所得が高い程税率がアップするため、分散することで税率を低く抑えることができるからです。

だとすれば、分散効果が高い=役員報酬や給与を多く出す程節税になりそうです。
しかし、多くの事例で問題となるのは、「いくらまで役員報酬ないし給与を出せるか」という点にあります。

例えば、以下の例で考えてみます。

  • ・管理戸数:50戸のマンション
  • ・1戸あたり平均家賃:10万円
  • ・月間家賃総額:50戸×10万円=500万円
  • ・管理人(=親族)が行う業務:たまに行うマンション清掃のみ
  • ・その他業務:外注に任せている

このとき、親族に月間300万円の役員報酬を払ったとします。
これは高いでしょうか。高くないでしょうか。
結論から述べれば、不当に高い役員報酬として、一部会社経費にならない可能性があります。

仮に、このマンションの管理人が赤の他人であった場合、月300万円もの報酬を支払うでしょうか。
客観的にみて、適正な役員報酬額といえるでしょうか。
おそらく、親族という特殊事情が無い限り、あり得ないはずです。
法人税法上、勤務実態や職責に鑑みて、過大な役員報酬は経費として認めないというわけです。

適正な役員報酬額か否かは、業務内容や規模、責任、同業他社比較等、総合的に判断されます。
勤務日誌や管理業務の明確化など客観的記録を残しておくことも、否認されないポイントです。

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