相続と養子縁組の関係、節税と問題点

税務

相続税と養子縁組

養子縁組で相続税の節税はアリか

親族間トラブルに注意
-よく考えて決断を-

相続税

- 2015.07.16 -

相続税対策と養子縁組の関係

相続税対策として、税理士等から養子縁組を勧められることもあります。
例えば、被相続人(亡くなる方)の養子として、子の配偶者等を迎えるケースです。
相続税では、(法定)相続人が多い程、税額が減少します。
そのため、養子縁組制度を利用して、相続人を増やそうとするわけです。
節税のみに着目した場合、本来の養子縁組の趣旨とは異なる印象も受けるかもしれません。

養子の節税効果

では、養子が相続人として増えることで、どれだけ節税効果があるでしょうか。
以下では簡単な具体例を用いて説明します。

  • ・相続人:子供2人(長男+次男)
家族図

通常、嫁は相続人となれないため、長男と次男で母の財産を相続します。
相続税には基礎控除という制度があります。
具体的には、相続財産から以下の金額を控除できます。

  • ・3,000万円+600万円×法定相続人数

そのため、上記例では3,000万円+600万円×2人=4,200万円の控除となります。
よって、1億円-4,200万円=5,800万円が課税対象となります。

他方、嫁と養子縁組を交わした場合、法定相続人は1人増えます。
そのため、上記例では3,000万円+600万円×3人=4,800万円の控除となります。
よって、1億円-4,800万円=5,200万円が課税対象となります。

相続税率は遺産額によって、10%~55%まで設定されています。
したがって、基礎控除によって課税対象が減れば、さらに税率も低下します。
単純に言えば、600万円×税率分が、節税になるでしょう。
なお、相続税額はこちらでシュミレーションできます。

養子縁組の問題点

上記の通り、節税という観点で言えば、養子縁組は有効です。
しかし、節税のみを目的としたものは、一般的に推奨されません。
なぜなら、主に以下の点で問題が残るからです。

  • ①相続分の問題
  • ②租税回避行為の問題

①相続分の問題

嫁を養子にしていない場合、長男と次男が1/2ずつ相続できていました。
しかし、嫁が相続人となることで、3人が1/3ずつ均等に相続します。
すると、長男一家には2/3入るのに対し、次男は1/3しか貰えません。
また、遺留分といって、最低限貰える相続財産額にも影響を及ぼします。
(今回、遺留分の詳細説明は割愛します)

このような場合、次男に不満が生まれることがあります。
また、次男本人は我慢できても、次男の嫁・子供には不満が残るかもしれません。

人の心は変わりやすいものです。
相続時に了承しても、後日不服を申し立てることもあります。

つまり、一時の節税効果を追及するあまり、一族の後世に禍根を残す可能性があります。

②租税回避行為の問題

養子縁組によって、相続税負担を不当に減少させる結果となる場合があります。
このように認められた場合、養子として扱われません。
(相続税法第63条)
例えば、以下のような場合、該当する可能性があります。

  • ・被相続人の本意に反した養子縁組
  • ・縁もゆかりも無い者との養子縁組

明らかな租税回避行為に該当すれば、当然、認められません。

まとめ

相続は「争族」としばしば揶揄されます。
大切なのは、一時の節税ではなく、一族の良好な関係です。
また、生前に出来る相続対策は、養子以外にも多く存在します。
長期的視点に立って、意思決定されることをお勧めします。

【注】本Tipsでは、投稿日時点の情報を掲載しています。記事に関する税務・個別具体的判断につきましては、最寄の税務署または顧問税理士・税理士法人等へ相談確認して下さい。万一当記事に基づいて発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねます。