相続税対策としてのアパート・賃貸経営

税務

相続対策と賃貸経営

賃貸経営で相続対策をします

アパート?借家?転貸?
-節税注意点-

相続税

- 2015.07.15 -

なぜ賃貸経営が相続対策となるか

巷の不動産会社では、相続対策として、賃貸経営を勧められることがあります。
相続税は、亡くなった人の財産の大きさで、税額が増加します。
そして財産は、現金で持つより不動産化した方が、評価額が下がります。
つまり、不動産化→財産評価額低下→相続税額低下、となる構図です。
以下では、アパート等を経営する上で、注意したい点を紹介します。

借家か集合住宅か

賃貸経営を始める場合、借家か集合住宅かで迷うことがあります。
資金面や流行、周囲の環境等で借家を選択する場合もあるでしょう。
しかし、借家にした場合、相続対策とならないケースも発生し得ます。
例えば、以下の場合です。

  • ・借家を建設し、賃貸経営を始めた
  • ・その後、被相続人が亡くなった
  • ・その時、借家には入居者が居なかった

この場合、当該借家の土地(貸家立付地)の評価は、自用地として評価します。
つまり、賃貸物件としての財産評価減が受けられません。

なぜなら、入居者が居ない→借地・借家権等の権利義務が無い→土地に対する制約が無く、評価を下げる必要がない。
という理屈が成り立つからです。

一方、集合住宅(アパート等)の場合はどうでしょうか。
アパートの場合、複数戸から成立ち、全室空室という状況は少ないでしょう。
そのため、一人でも入居者が存在する場合、通常アパート敷地全体が評価減の対象となり得ます。

昨今の住宅事情を鑑みると、満室となっていない賃貸住宅はザラにあります。
また、一時的に数ヶ月空家というケースも、まま存在するでしょう。
以上の観点からは、集合住宅の方が節税対策に適すると言えます。

一括借上か個別借上か

近年の不動産経営では、住宅メーカー等の家賃保証・一括借上げが盛んに行われています。
一括借上の場合、オーナーにとって、借主ゼロという事態はありません。
なぜなら、一括借上者が借主として常に存在するからです。
そのため、『借家か集合住宅か』で検討した、空家の心配は無くなります。

一括借上か個別借上かが問題となるのは、以下のような場合です。

  • ・相続対策として、集合住宅を新築した
  • ・入居者募集開始直後、被相続人が急逝した
  • ・死去した時点では、入居者がほとんど居なかった

この場合、未入居部分の土地につき、財産評価減を受けられない可能性があります。

前項では、一人でも入居者が居れば、建物全体に効果が及ぶと述べました。
しかし、それは死亡前から継続して賃貸されているケースに限られます。

よって、本事例で個別借上ならば、相続税上不利になります。
他方、一括借上ならば、常に一括借上者が存在するので、当問題は発生しません。

そもそも賃貸経営である必要があるか

以上、相続税対策としての賃貸経営を見てきました。
しかし、「相続税対策」という理由のみで賃貸経営を始めることは疑問です。
なぜなら、目先の相続税が減少しても、賃貸経営で赤字になっては意味がないからです。

アパート等は経年劣化により多額の修繕費がかかってきます。
また、変動金利での銀行借入ならば、金利上昇が負担になるかもしれません。

一括借上・家賃保証であっても、老朽化等に伴う家賃引下げ交渉はあり得ます。
そしてタイプにもよりますが、一旦契約すると途中解約困難なものもあります。
相続対策できたは良いが、定期的に家賃引下げか設備購入(※)を迫られる・・。
(※防犯カメラやオートロックなど、入居率アップに必要な設備)

長期的視点を持って、投資判断されることをお勧めします。

【注】本Tipsでは、投稿日時点の情報を掲載しています。記事に関する税務・個別具体的判断につきましては、最寄の税務署または顧問税理士・税理士法人等へ相談確認して下さい。万一当記事に基づいて発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねます。